「自転車のカギをなくした」
雨降る夜、家族から文字メッセージがきました。
「スペアキーを探すから待ってて」
と返信し、家中を探しましたが見つかりません。
既にカギを2本紛失し、今回無くしたのは最後の1本だったようです。
無くしたのは軽快車の馬蹄錠を解錠するための鍵です。
駐輪場所まで車で迎えに行き、自転車を車内に積んで家族を乗せて帰宅しました。
馬蹄錠の鍵を紛失して困った場合の参考として、今回の対応方法を公開しておきます。
鍵を外す方法がいくつかある
公的機関には頼まない
国や地方自治体など公的機関の倉庫には切断や破壊に使える道具が保管されているかもしれません。
けれども、自転車の鍵をなくした人のために自転車の鍵を壊したり外したりするサービスを提供している機関はありません。また切断ツール等を貸出する機関もありません。
公的機関だけでなく、民間企業の鉄道やバスの事務所、コンビニエンスストア等にお願いするのは全く筋違いな話で、相談するだけであっても、それぞれの従業員に余計な負担をかけてしまいます。
当然のことですが、自転車の鍵を無くした場合は、自分で解決するか、自転車屋さんなど解錠サービスを行う民間業者に依頼することになります。
自転車屋さんに有償で依頼する
自転車屋さんに有償で依頼するのが一番妥当で確実な方法です。
新しい錠を取り付けてもらうことも可能です。
近場に妥当な金額で対応してくれる親切な自転車屋さんの名前が2件思いつきました。
が・・・。
自転車のパンクなど簡単な修理はいつも自分で行っているので、
「今回もとりあえずDIYで何とかしてみよう」
自分で試してみて無理であれば親切な自転車屋さんに頼むことに。
ところで、今回の場合、自家用車に自転車を積載できたため、放置せずに回収することができましたが、車で運べない場合はどうするのでしょうか?
・タイヤ部分を持ち上げて運んでいく。
・自転車屋さんに来てもらう。
・鍵師に来てもらう。
・運送屋さんに自転車店まで運んでもらう。
という方法になるのでしょう。
DIYで解錠する
最近の馬蹄錠は外しにくいようです。
昔の馬蹄錠は、ドライバーやフックのような道具を使ってこじ開けるという方法で解錠できる場合がありましたが、最近のタイプはこじ開けが難しくなっているようです。
今回、鍵を無くした馬蹄錠は、こじ開けの難易度が高そうなシリンダー錠です。
どうすればよいのでしょうか?
ケーブルカッターが思い浮かびましたが、我が家は保有していません。
GORINの馬蹄錠を切断
自転車を自宅に回収してきたのは夜です。
「翌朝に自転車を使いたい」
ということでしたので、家にある道具でなんとかしようと思いました。
馬蹄錠には、「GORIN」と書かれています。
インターネットで調べれば良い方法があるかもしれないと思い検索しましたが、シリンダー錠の解錠方法は見つかりませんでした。
次の写真は、昼間に再現撮影したもので馬蹄錠のロックがかかっている様子です。
金属用のこぎりで切断
「カーブ状のデットボルト(銀色の部分馬蹄錠を)を切断すれば馬蹄錠を外せる」
と考え、道具箱から「金切のこ」を取り出しました。
今回使ったのは「SK11」というブランドの使い古した金切りのこぎりでしたが、
100円ショップで売っているものでも大丈夫かもしれません。
デットボルトを切ろうとしたところ、うちの「金切りノコ」の形状では、柄がタイヤやスポークにぶつかって切れないということがわかりました。
(※今気づいたのですが刃を伸ばせば切れたかもしれません)
(※デッドボルトが太くて切断が大変そうに見えましたが、馬蹄錠を外した後、デッドボルトを観察すると筒状ではなくU字になっていて内側が空洞になっていることもわかりました。)
シリンダーとデットボルトの間を切る
通常、自転車の鍵をかけるときレバーを指で押してデットボルトを引き伸ばすと「カチッ」とロックされて鍵がかかります。解錠するときはシリンダーにカギを刺して回すと「カチッ」とロックが解除されデッドボルトが戻ります。
ということは、シリンダーとデットボルトの間には、デットボルトをロックしておくための、仕組みがあるということがわかります。
今回は、シリンダーとデットボルトの間に切り目を入れてロックを維持する部分を切断(破壊)し、解錠を試みることにします。
◆ 次の写真は馬蹄錠の急所に切れ目を入れた様子です。
数cm切り込みを入れたところでデットボルトがバネの力で自動で元に戻り、解錠されました。
計画では全て切り落とすつもりだったのですが、切断途中でロックが外れました。
◆ 次の写真は馬蹄錠のデットボルトが解錠され元の位置に戻った様子です。
◆ 次の写真はデッドボルトのロックを解除するために金鋸で切った様子を撮影したものです。
この状態でデッドボルトを伸ばすとに再び「カチッ」とロックがかかります。
再度、金鋸の刃を入れ込み、割れ目の先端(シリンダーの真横辺り)に刃を触れさせると「スッ」と解錠されるので、その位置にロックしたり、解除したりするための部品があるようです。
馬蹄錠の取り外し
デットボルトを解除できたので、その後は馬蹄錠を簡単に取り外すことができました。
フレームに固定している2か所のねじをドライバーで外して取り外し完了です。
ワイヤーロックを使用
代わりの馬蹄錠を探しました。
子供用自転車の馬蹄錠が余っていたので、試しにそれを取り付けたのですが、案の定サイズが合わず、窮屈で使いにくかったので、即刻、取り外しました。
予備で保管しておいた鍵式のワイヤー錠を使用することにし、翌朝から自転車を使用できるようになりました。
それから数か月間、そのワイヤー錠を使用していたのですが、鍵が「ポキッ」と折れてしまいました。
それを機に太めのダイヤル式ワイヤー錠を購入して、現在も使用しています。
ダイヤル式であれば、鍵が折れても無くしても、開かなくなることはないので安心です。
鍵の保管をしなくても良いので使用者は喜んで使っています。
番号が合えば開いてしまうなどのデメリットもあるのでしょうが。
二重ロックの重要性
GORINの馬蹄錠の解錠に要した時間はわずか数分でした。
この自転車を購入したときに自転車屋さんからサービスでワイヤー錠をいただきました。
「盗難を防止するためには、(馬蹄錠+ワイヤー錠で)二重ロックをしたほうがいいので使ってください」と。
先ほど書いた親切な自転車屋さんとは、この自転車を購入した店舗のことです。
古くて小さな店舗を構え、見るからに薄利の営業を続けている店主さんです。
自転車の購入時にはしっかりと割引をしていただけますし、メンテナンスについても優しく丁寧にアドバイスをしてくださる自転車屋さんです。
日々の作業を通じて、馬蹄錠が簡単に壊せるということを体感しているのでしょう。
この自転車屋さんの言うとおり、一般的な馬蹄錠は素早く解錠できてしまうことがわかりました。
自転車の馬蹄錠は簡易的な防犯用具に過ぎないようです。
悪意ある人の盗難行為を完全に防ぐことはできません。
(※GORINの商品や機能が悪いわけではない)
盗まれたくない自転車を駐輪する場合は、少しでも犯行を諦めさせるため二重ロックが大切だということがわかりました。
自転車泥棒ダメ
自転車には、通常、車体毎に番号記号が刻印されているほか、盗難防止のための防犯登録という制度があり、所有者を明確にし、盗難自転車を判別しやすくする社会的な仕組みが構築されています。
無施錠だからとか、錠を簡単に壊せるからといって他人の自転車を盗んだり、無断で使用すると、窃盗や横領など重大な罪に問われる場合があります。
鍵を壊さなくて良いように
自転車の施錠器具は、少なくともスペアキーを1本以上確保した状態で使用し、スペアキーがなくなったら交換するように心掛けていました。
馬蹄錠でも解錠されている状態であれば、ドライバー1本で簡単に取り換えることができるからです。
今回、家族が鍵を2本無くし、残り1本になっていたのですが、それを黙っていたため、馬蹄錠を交換していませんでした。
マスターキー1本だけで鍵をかけることは、解錠できなくなるリスクがあることが改めてわかりました。
自転車はとても便利な乗り物です。
施錠や鍵の管理を適切に行うとともに、交通ルールを守って生活の足として活用したいところです。